建水分神社

たけみくまりじんじゃ

所在地:南河内郡千早赤阪村水分357

最寄駅:近鉄長野線「富田林」駅より金剛バス「水分神社口」下車すぐ、「森屋」下車徒歩15

拝観:境内自由、本殿参拝は不可(特別参拝のみ可)

TELFAX0721-72-0534

<参考>建水分神社御略記、本殿(重要文化財)建築についての抄録

 

 金剛葛城山脈のふもと、大阪で唯一の村として知られる千早赤阪村、水越川畔に位置する建水分神社の創建は古く、第10代崇神天皇(西暦前92)とされ、金剛山の総鎮守で付近18カ村の産土神であると共に、この地を本拠とした楠木氏の氏神でもある。参道入り口から舗装された急な坂道を上がると右手に旧絵馬堂、正面に摂社南木神社、左手に本殿が位置する。

手水舎を挟んで左手の大きな石の鳥居の両脇に大阪府内一と言われる大きな狛犬が座している。石段を上がると拝殿、幣殿、本殿と続く。本殿の形式は「水分形式」とも呼ばれ、三殿からなる。中殿に一間社春日造、左右両殿に二間社流造がそれぞれ独立して配され、各殿を渡廊で連結するという他に例のない形式。屋根は桧皮葺で、三殿それぞれが千木と堅魚木を持つ。蟇股や木鼻の絵模様彫刻、欄間の透彫彫刻など意匠も優れ、昭和25(1950)に重要文化財に指定された。

南木神社は楠木正成を祀る。正成公が湊川で戦死されると後醍醐天皇の命で建立された。昭和9(1934)年の室戸台風で倒壊、昭和15年に再建された。平成16年に御創祀2100年記念事業の一環として改修され、桧皮葺きそのままの勾配をもつ銅版葺きの屋根が美しい。摂社とはいえ規模が大きく、大きな唐破風を持つ外観は本殿と錯覚しそうになる。

境内は杉や檜の古木が鬱蒼と茂り、桜、つつじ、石楠花など花の他もみじもあり四季折々の魅力がある。近くには日本棚田100選の一つ「下赤坂の棚田」や千早赤阪城址もあり一日楽しめる。交通は至って不便で、バスの時刻表に注意が必要。

紅葉のきれいな頃に特別参拝をお願いしようと検討中である。乞うご期待。(鶴田 晴子)

*三殿並座の形式は他に宇多水分神社、吉野水分神社が残る。