厚生労働省ガイドライン・JIS・JAS
★厚生労働省 化学物質室内濃度指針値(ガイドライン)
指針値は、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものであり、その設定の趣旨はこの値までは良いとするのではなく、指針値以下がより望ましいということである。
揮発性有機化合物
毒 性 指 標
室内濃度指針値
設定値
ヒト吸入暴露における鼻咽頭粘膜への刺激
100μg/m3
(0.08ppm)
1997. 6.13
ヒト吸入暴露における
神経行動機能及び生殖発生への影響
260μg/m3
(0.07ppm)
2000. 6.26
妊娠ラット吸入暴露における
出生児の中枢神経系発達への影響
870μg/m3
(0.20ppm)
2000. 6.26
パラジクロロベンゼン
ビーグル犬経口暴露における
肝臓及び腎臓等への影響
240μg/m3
(0.04ppm)
2000. 6.26
エチルベンゼン
マウス及びラット吸入暴露における
肝臓及び腎臓への影響
3800μg/m3
(0.88ppm)
2000.12.15
スチレン
ラット吸入暴露における脳や肝臓への影響
220μg/m3
(0.05ppm)
2000.12.15
クロルピリホス
母ラット経口暴露における
新生児の神経発達への影響及び
新生児脳への形態学的影響
1μg/m3(0.07ppb)
但し小児の場合は
0.1μg/m3(0.007ppb)
2000.12.15
フタル酸ジ-n-ブチル
母経口ラット暴露における
新生児の生殖器の構造異常等の影響
220μg/m3
(0.02ppm)
2000.12.15
テトラデカン
C8-C16混合物のラット経口暴露における
肝臓への影響
330μg/m3
(0.04ppm)
2001. 7. 5
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
ラット経口暴露における
精巣への病理組織学的影響
120μg/m3
(7.6ppb)
注1
2001. 7. 5
ダイアジノン
ラット吸入暴露における
血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性への影響
290μg/m3
(0.02ppb)
2001. 7. 5
アセトアルデヒド
ラットの経気道暴露における
鼻腔嗅覚上皮への影響
48μg/m3
(0.03ppm)
2002. 1.22
フェノブカルブ
ラット吸入暴露における
コリンエステラーゼ活性などへの影響
33μg/m3
(3.8ppb)
2002. 1.22
総揮発性有機
化合物(TVOC)
国内の室内VOC実態調査の結果から、
合理的に達成可能な限り低い範囲で決定
暫定目標値
400μg/m3
2001. 7. 5
注1:フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの蒸気圧についてはは1.3×10-5Pa(25℃)〜8.6×10-4Pa(20℃)など多数の文献値があり、これらの換算濃度はそれぞれ0.12〜8.5ppb相当である。
ここに示した物質の指針値は、ホルムアルデヒドの場合は短期間の暴露によって起こる毒性を指標に、それ以外の物質の場合は長期間の暴露によって起こる毒性を指標として、それぞれ策定している。また、総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値は、国内家屋の実態調査の結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した値であり、個別物質の指針値とは独立に、室内空気質の状態の目安として利用される。
継続して検討が必要な物質
揮発性有機化合物
毒 性 指 標
室内濃度指針値
設定値
ノナナール
C8-C16混合物のラット経口暴露における
毒性学的影響
41μg/ m3
(7.0ppb)
(情報量が乏しいことから暫定値。パブリックコメント募集時の案)
検討継続
C8-C16脂肪族飽和炭化水素
検討継続
C8-C12脂肪族飽和アルデヒド
検討継続
各化学物質選定理由
各物質の選定理由
(1)
海外で指針が提示されているもの
(2)
実態調査の結果、室内濃度が高く、その理由が室内の発生源によると考えられるもの
(3)
パブリックコメントから特に要望のあったもの
(4)
外国で新たな規制がかけられたこと等の理由により、早急に指針値策定を考慮する必要があるもの
(5)
主要な用途からみて、万遍なく網羅していること
(6)
主要な構造分類からみて、万遍なく網羅していること
揮発性有機化合物
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
ホルムアルデヒド
トルエン
キシレン
パラジクロロベンゼン
エチルベンゼン
スチレン
クロルピリホス
フタル酸ジ-n-ブチル
テトラデカン
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
ダイアジノン
アセトアルデヒド
フェノブカルブ
総揮発性有機化合物
(TVOC)
ノナナール
★シックハウス対策のためのJIS改訂
平成15年1月20日経済産業省産業技術環境局標準課公表分より

1.経済産業省では、「環境JISの策定促進のアクションプログラム」(平成14年4月 日本工業標準調査会策定)に基づき、約130のテーマについて環境配慮製品等のJIS化に取り組んでいるところ。昨年7月には、第1弾としてエコセメントのJIS及び溶融スラグ骨材のTR(準JISとして位置付けられるもの)を制定し公表した。

2.このたび、第2弾として、昨年7月の建築基準法の改正を受けて、シックハウス対策のためのJISを整備する。本年1月20日付けでJIS A1901(建築材料の揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定法−小形チャンバー法)(以下、単に小形チャンバー法という。)を制定公示し、更に、本年3月20日には建築内装材、塗料、接着剤、断熱材など45の建材関連のJISについても、制定・改正公示する予定である。

3.今回制定した小形チャンバー法は、ホルムアルデヒドのほかトルエン、キシレン等のVOCも測定できるものであり、今後のシックハウス対策の有効な測定手段となる。又、建材の放散速度が測定できることから、実際の室内空気中のホルムアルデヒドやVOC濃度の予測も可能となり、更に、共通の測定方法をJIS化することによって、測定データの互換性・有効活用が図られ、ホルムアルデヒドやVOC放散量の低い建材の開発、普及・拡大に寄与できる。

  また、個別建材のJISでは、ホルムアルデヒドの放散量による等級区分及びその表示記号として、F☆☆☆☆(放散量が小さく使用規制が必要ない建材)、F☆☆☆及びF☆☆(放散量はある程度あるが、使用面積を一定割合にすることで建材として使えるもの)を規定することとしており、これらの表示を確認することにより適切な建材の選択ができることになる。これらのJISが整備されることによって、本年7月からの建築基準法改正によるシックハウス対策の実施がスムーズに行われ、更に促進されることが期待できる。
●JIS改正 平成15年3月20日告示、即日施行
ホルムアルデヒド放出量による区分
記号
ホルムアルデヒド放出量
建築材料区分
平均値
最大値
F☆☆☆☆
0.3mg/l以下
0.4mg/l以下
規制対象外となる建築材料
F☆☆☆
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
第三種ホルムアルデヒド発散材料
F☆☆
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
第二種ホルムアルデヒド発散材料
(F☆☆、F☆☆☆、F☆☆☆☆を除く)
第一種ホルムアルデヒド発散材料
旧表記基準との比較
記号
ホルムアルデヒド放出量
旧記号
ホルムアルデヒド放出量
平均値
最大値
平均値
最大値
F☆☆☆☆
0.3mg/l以下
0.4mg/l以下
-
-
-
F☆☆☆
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
E0
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
F☆☆
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
E1
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
-
-
-
E2
5.0mg/l以下
7.0mg/l以下
★シックハウス対策のためのJAS改訂
●JAS改正 平成15年2月27日規格改正告示、3月29日施行
ホルムアルデヒド放出量による区分
記号
ホルムアルデヒド放出量
建築材料区分
平均値
最大値
F☆☆☆☆
0.3mg/l以下
0.4mg/l以下
規制対象外となる建築材料
F☆☆☆
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
第三種ホルムアルデヒド発散材料
F☆☆
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
第二種ホルムアルデヒド発散材料
(F☆☆、F☆☆☆、F☆☆☆☆を除く)
第一種ホルムアルデヒド発散材料
旧表記基準との比較
記号
ホルムアルデヒド放出量
旧記号
ホルムアルデヒド放出量
平均値
最大値
平均値
最大値
F☆☆☆☆
0.3mg/l以下
0.4mg/l以下
-
-
-
F☆☆☆
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
Fc0
0.5mg/l以下
0.7mg/l以下
F☆☆
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
Fc1
1.5mg/l以下
2.1mg/l以下
-
-
-
Fc2
5.0mg/l以下
7.0mg/l以下