過去の入賞発表
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主催:公益社団法人 大阪府建築士会
目的
公益社団法人大阪府建築士会では会報誌「建築人」を毎月発行しており、2020年4月には第670号を数えました。本会の会員にとって重要な情報提供を行うとともに、建築作品発表の機会を設け、建築技術の普及や会員の相互研鑽に寄与することを目指しています。
「建築人賞」は「建築人」のGALLERY 頁に掲載された全作品の中から特に機能性、社会性、デザイン性、先進性などにおいて優れたものを顕彰することで、建築技術の進展、建築文化の向上に資することを目的とし、「建築人」のプレゼンスをより高めていくことを意図して創設された賞です。
審査経過
審査は公平性を重視するため、主に関西以外を拠点として活躍する建築関係者、学識経験者にお願いしています。第11回からは横浜国立大学大学院教授の乾久美子氏を審査委員長としてお迎えしました。
今回の審査は2019年に掲載された作品32点が対象となりました。一次審査は誌面より一般・住宅部門を合わせて計5作品を選出、その後、設計者から追加で提出された詳細資料をもとに二次審査を行い、最終的に建築人賞2点、奨励賞2点、佳作1点が選出されました。
入選作品は、いずれもその機能性、デザイン性、社会性などが高く評価されたものですが、これらを表彰し公表することによって、社会に対して建築の魅力や価値を発信し、建築文化の醸成に寄与できるものと考えています。また今後より多くの方に参加頂き、建築人賞が大阪から魅力ある建築情報を発信する動機として成長発展していくよう祈念しています。
建築情報部門長:飯田 英二
対象作品
会報誌建築人2019年1月号~2019年12月号「GALLERY」掲載作品32点
受賞作品紹介
賞 | 受賞 | 建築主 | 設計者 | 施工者 |
---|---|---|---|---|
建築人賞 | ふじしろ幼稚園 | ------ | アバクス・アーキテクツ | 越智工務店 |
農人町の町家 | ------ | 大西憲司設計工房 | アトリエ・エイト | |
建築人賞 奨励賞 |
兵庫県林業会館 | ------ | 竹中工務店 | 竹中工務店・大和ハウス工業JV |
四畳半キューブの家 | ------ | HAMADA DESIGN | ジェイプランニング | |
建築人賞佳作 | 大谷さやまこども園 | ------ | 竹中工務店 | 竹中工務店 |
審査総評
去年に引き続き、審査をさせていただきました。今年は、現地を拝見する予定で審査がはじまりましたが、残念ながら、コロナウィルスの感染拡大防止の観点から直前にキャンセルとなりました。設計者、お施主様、士会の事務局の方々には現地審査の日程調整のご面倒だけをおかけする結果になりましたが、ご協力いただいたことに感謝いたします。ありがとうございました。
さて、今年も建築人の紙面から気になる作品をピックアップし、紙面だけでは読み取りにくい情報を、追加資料としてA4のファイルにまとめて提出いただきました。一般部門は去年と同様に、実力派の組織設計・ゼネコン設計部の作品に圧倒的な迫力がありました。しかし、最終的に建築人賞として選定させていただいたのは、子供たちのための小さな空間でした。
規模もプログラムも違う作品を比較するのは難しいものです。多様な規模のプロジェクトを一堂に並べて比較すると、単純なもののほうが好ましく感じ、巨大なプロジェクトがむしろ不利になる傾向があるかもしれません。パッとわかる楽しさがあるからでしょうか。こうしたものは一種のバイアスであるとも考えられるので、選定の際に注意をしたつもりですが、結果として予算規模が比較的小さいこどもの施設を選定することになりました。子供達のための極小の空間が単純さがかえって目立ったということもありますが、子供の空間が根源的なものと結びついていると感じられたからです。そこに生き生きとした建築のはじまりのようなものが現れていると思いました。
住宅部門は、穏やかで着実な作品が多いと感じました。また、地形とともに育まれた豊かな住環境に位置する作品や、古墳が目の前といった作品があり、関西圏らしい文化の厚みを感じ、興味深く拝見させていただきました。
去年と同様に気になったのは、若い作家の応募が少ないことです。関西圏は若手の作家がとても多いエリアだと思います。若い作家の作品の面白さは、設計もさることながら敷地や設計の与件です。かつての工業地帯など、これまで建築家の作品がなかったような文脈の場所に、おもしろい住宅や作品が出来てきています。そうしたものも掲載されると、紙面がよりいっそう活気にあふれ、大阪や関西の意味や可能性を議論できる場として、生きていくのではないかと思います。
また、紙面にプランが掲載されるとよりよいと思っています。子供の頃、実家で定期購読していた週刊新潮の最後のページに「マイプライバシー」という連載があって、毎週それを眺めることを楽しみにしていました。B5判の紙面でしたがプランも掲載されていたのを覚えています。とても小さなプランでしたが、建築の形を把握するには十分でした。建築士の良心や苦労、知見は表層だけではなく、深層に堆積していると思います。プランは、それを知る重要な手がかりの一つだと思っていますので、今後の検討を期待します。
建築人賞審査委員長:乾 久美子
審査委員長 : 乾 久美子
(横浜国立大学大学院Y-GSA教授)
1969年 | 大阪府生まれ |
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1992年 | 東京藝術大学美術学部建築科卒業 |
1996年 | イエール大学大学院建築学部修了 |
1996~2000年 | 青木淳建築計画事務所勤務 |
2000年 | 乾久美子建築設計事務所設立 |
2000~2001年 | 東京藝術大学美術学部建築科常勤助手 |
2011~2016年 | 東京藝術大学美術学部建築科准教授 |
2016年~ | 横浜国立大学大学院Y-GSA教授 |
令和元年度 | 第11回 建築人賞発表 |
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平成30年度 | 第10回 建築人賞発表 |
平成29年度 | 第9回 建築人賞発表 |
平成28年度 | 第8回 建築人賞発表 |
平成27年度 | 第7回 建築人賞発表 |
平成26年度 | 第6回 建築人賞発表 |
平成25年度 | 第5回 建築人賞発表 |
平成24年度 | 第4回 建築人賞発表 |