過去の入賞発表「大阪建築コンクール基金」にご出捐のお願い 第67回 応募詳細ご案内
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主催 : 公益社団法人大阪府建築士会 / 後援 : 大阪府
「大阪建築コンクール」の趣旨
建築士はその職責を通じて地域社会の発展に寄与し、建築美を通じて建築文化の向上、ひいては地域文化の振興にも寄与していく必要があり、その責務は重大である。
大阪建築コンクールは、建築士と社会とのかかわりを通じて建築作品を評価し、その優れた実績をたたえ、建築作品の設計者である大阪府建築士会正会員または大阪府在住もしくは在勤の設計者を表彰する。同時に行う渡辺節賞については、新しい建築文化の原動力となる若い優れた設計者をたたえ、さらなる発展を望むものである。
募集範囲
2017年1月1日から2022年12月31日の間に竣工し、完了検査済証の交付を受けた建築物
*建築確認申請不要物件は完了検査済証不要
*竣工年月日は工事完了時
審査委員会
委員長 | 橋爪紳也(大阪公立大学研究推進機構特別教授) | ||||
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委 員 ※50音順 |
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受賞作品紹介
●大阪府知事賞部門
賞 | 受賞 | 設計者 |
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大阪府知事賞 | 藤田美術館 | 平井浩之(大成建設株式会社関西支店設計部) |
SPACESPACE HOUSE+ローリングタワー屋台 | 香川貴範+岸上純子(SPACESPACE一級建築士事務所) | |
奨励賞 | 富田林の家 | 三谷勝章
柳室 純(柳室純構造設計) 荻野寿也・荻野彰大(荻野景観設計) |
近畿大学6・7号館(ACADEMIC THEATER ANNEX THE GARAGE) | 畠山文聡(株式会社NTTファシリティーズ) | |
三宅町交流まちづくりセンターMiiMO | 前田茂樹(ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ) |
●渡辺節賞部門
賞 | 受賞 | 設計者 |
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渡辺節賞 | 外のない家 | 木内菜津子(一級建築士事務所nua) |
奨励賞 | 該当なし |
審査経過並びに総評
審査委員長 : 橋爪紳也
審査委員長を拝命した。総評を記す前に、審査にあたるうえでの所信を表明しておきたい。
私はかねて「大阪の建築界」の独自性を再評価し、再構築し、社会にそして世界に広く訴求することの必要性を強調してきた。近代以降、少なくとも戦後高度経済成長期までは、大阪に事務所を開き、関西各地に多くの作品を実現させて活躍した建築家たちが多くあった。彼らはみずからが立ち上げた各種の組織を媒介として、建築設計の専門家としてさまざまな問題提起を行っていた。
戦後にあっても、大阪には独自の建築文化があった。たとえばちょうど60 年前、『新建築』昭和38 年2 月号は、「大阪の建築と建築家」の特集を編んでいる。
そこにあって浦辺鎮太郎は「大阪はもっとも都会らしい都会」だと評した浜口隆一の言葉を踏まえつつ、ここには「地方建築家」はいないと述べる。大阪を拠点に活躍する建築家たちは、独自の都市文化を認識しているということだろう。そのうえで適当な広さ、適度な人口、そして一定の富力を持つ大阪では、建築家も公共精神を持ち、建築とともに建築家も健全に育ったと評価をしている。
いっぽうで村松貞次郎は、施主の注文に応じて作品をものにしつつ、大阪では他人の評価をしない「大人の建築家」が活躍していると断じ、そこに町人の街の伝統を、さらには市民社会に根を下ろした安定感を見出している。村松は、大阪を理想に近い「建築家の社会」と一定の評価をしつつも、いっぽうで斬新なアイデアや提案には乏しいという面があるという自身の見解を示した。
では現時点にあって「大阪の建築界」の個性は、どのように語られるのだろうか。「大阪の建築家」が文化や社会の向上に貢献する際、地域に根ざしたユニークな方法論を共有しているのだろうか。
またその将来を担う若い才能は、何を志向しているのだろうか。大阪に在住もしくは勤務する建築士を顕彰する「大阪建築コンクール」の審査に携わることで、「大阪の建築家」の現在を把握するとともに、「大阪の建築界」の針路についての考えを深めてゆきたいと思う。
さて本年度の審査の経過について述べておきたい。今年は大阪府知事賞部門に29 点、渡辺節賞部門に7 点の応募があった。まず書類による1 次審査を実施、投票で多くの票を集めた上位作品および個別の委員から強い希望があった10 作品を実査の対象とした。そのうえで現地を訪問し設計者や施主から説明を受け、質疑応答を行った。
最終審査は大阪府建築士会の事務所で行った。多くの審査委員から優れた作品であると支持を得た作品から、全員の合意を得て2 作品を「大阪府知事賞」、1作品を「渡辺節賞」とすることになった。
また知事賞を贈るには全員の一致を見なかったが、複数の委員から強く推す意見があった3 作品について、審査委員長の判断によって奨励賞を贈ることとした。
個別の評価については別掲の審査評を参照していただければと思う。大阪府知事賞に選定された2 作品についてのみ印象を記しておきたい。アプローチは異なるが、2 作品のいずれも土地の履歴や周辺の環境を読み込んだうえで、地域の文化に根ざした優れて新しい建築を試みる意欲を強く感じることができた。設計者の熱意と総意工夫に敬意を表したい。
審査を通じて、歴史ある建築関連の賞としては応募作品があまりにも少ない点は課題であると感じた。「大阪建築コンクール」は、その職責を通じて地域社会の発展に貢献し、建築文化の向上に寄与する建築士を讃える表彰制度である。
作品を媒介としているが、表彰者個人に贈る点において、他の建築関連の賞とは趣旨が異なる。本顕彰制度の社会的意義を改めて確認し、リブランディングを行い、より多くの志の高い設計者が応募するように社会的意義を高めることが求められる。
また審査にのぞむなかで、初期の入賞作品のなかに、すでに解体された作品が散見されることに気がついた。第1 回から66 年が経過しているのだから多くの受賞作品が建て替えの時期にあることは理解されるが、賞を受けた建物が壊されるにあたって、公益社団法人大阪建築士会から、なんらかのメッセージを当時の設計者や施主に投げかけることがあるとは聞かない。私自身、初年度の受賞作である岸和田市庁舎建て替えの検討について参加した経験もあり、気になったところだ。
「大阪建築コンクール」は建築ではなく、建築を介して建築士を表彰する制度なので、その趣旨を鑑みると、いかに優れた建物であっても受賞した建物そのものの保存を訴求するといった活動の必然性はないように思う。ただ建て替えに際しては、先行する作品を凌ぐ優れた建築とすることを求めることがあって良いのではないか。いっぽうで設計図書や映像などの記録保存を要望することもあって良い。大阪さらには関西独自の建築文化を再認識するうえで、優れた建築士が関わった優れた建築物のアーカイブ化には多様なアプローチがあって良い。
令和5年度 | 第66回大阪建築コンクール入賞発表 |
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令和4年度 | 第65回大阪建築コンクール入賞発表 |
令和3年度 | 第64回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成30年度 | 第63回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成29年度 | 第62回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成28年度 | 第61回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成27年度 | 第60回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成25年度 | 第59回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成24年度 | 第58回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成23年度 | 第57回大阪建築コンクール入賞発表 |
平成22年度 | 第56回大阪建築コンクール入賞発表 |
株式会社IAO 竹田設計 | 岸下 和代 | 濵田 徹 |
あけぼの住研有限会社 | 岸下 秀一 | 株式会社原田彰建築設計事務所 |
ATELIER-ASH | 岸下 真理 | 株式会社ピアレックス・テクノロジーズ |
株式会社アトリエ天藤 | 木原千利設計工房 | 藤田 忍 |
生山 雅英 | 越井木材工業株式会社 | 水谷 敢 |
今井 俊夫 | 榊原 節子 | 株式会社三菱地所設計 |
株式会社インターオフィス | 修成建設専門学校 | 森村 政悦 |
上田 茂久 | 須部 恭浩 | 山城 健児 |
岡﨑 雅 | 田中 義久 | 横田 友行 |
岡本 森廣 | 辻井 光憲 | 芳村 隆史 |
織部製陶株式会社 | 株式会社徳岡設計 | 米井 寛 |
有限会社家倶家 | 中島 薫 | 株式会社ライト・ストリート総合計画 |
岸下 愛子 | 株式会社ノザワ関西支店 | 竹原 義二 |
中嶋 節子 | 大阪府住宅まちづくり部 堤 勇二 | 森田一弥建築設計事務所 |
金森 秀治郎 | 越智 正一 | 樫永一男建築研究所 |
都窯業株式会社 河原輝雄 | 長谷川 総一 |