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大阪建築コンクール過去の入賞発表第59回応募概要案内中

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第58回大阪建築コンクール 入賞発表

主催 : 公益社団法人大阪府建築士会 / 後援 : 大阪府・(財)大阪21 世紀協会・(一社)大阪府建築士事務所協会

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「大阪建築コンクール」の趣旨

 建築士はその職責を通じて地域社会の発展に寄与し、建築美を通じて建築文化の向上、ひいては地域文化の振興にも寄与していく必要があり、その責務は重大であります。
 大阪建築コンクールは、建築士と社会とのかかわりを通じて建築作品を評価し、その優れた実績をたたえ、建築作品の設計者である大阪府建築士会の会員を表彰します。同時に行う渡辺節賞については、新しい建築文化の原動力となる若い優れた設計者をたたえ、さらなる発展を望むものであります。

募集範囲

 2009 年1 月1 日から2011 年12 月31 日の間に竣工し、竣工検査済証の発行を受けた建築物
 ※建築確認申請不要物件は竣工検査済証不要、竣工年月日は工事完了時

審査委員会

委員長小玉祐一郎(神戸芸術工科大学 教授)
委 員
※50音順
芦澤 竜一(芦澤竜一建築設計事務所 主宰)内海 慎介(㈱竹中工務店大阪本店設計部)
怱那 裕樹(㈱E-DESIGN 代表取締役)布野 修司(滋賀県立大学 教授)
満田 衛資(満田衛資構造計画研究所 代表)南 正晴(大阪府 住宅まちづくり部公共建築室)

受賞作品紹介

●大阪府知事賞部門

受賞設計者
第1部
[延床面積3,000 ㎡未満の建築物]
児童養護施設三ヶ山学園 野村充(野村充建築設計事務所)
第2部
[延床面積3,000 ㎡未満の建築物]
龍谷大学 龍谷ミュージアム 赤木隆隆(株式会社日建設計)
塩野義製薬医薬研究センター SPRC4 小幡剛也(株式会社竹中工務店)

●渡辺節賞部門

受賞設計者
渡辺節賞 Dアパートメント(CASA 小治郎) 香川貴範+岸上純子(SPACESPACE)
奨励賞 神戸国際中学校・高等学校
河野記念 アルモ二ホール
中西正佳(株式会社竹中工務店)

審査経過並びに総評


審査委員長 : 小玉祐一郎
 このコンクールは今年で58回目を迎えた。これまでの受賞作品や受賞者のリストを見ると、その歴史の長さと重さを感じる。大阪の建築の魅力は東京とは違った一種独特のものがあると日ごろ感じ、それはおそらく関西の持つ歴史の長さ、建築の文化、住の文化の成熟度によるものであろうと漠然と考えている私自身にとって、最近の力作をじっくり見る良い機会となった。
 もうひとつの関心は、東日本大震災の影響である。大災害は、その時の社会が抱えている構造的な問題を顕在化させる―と言われるが、人口減少、少子高齢化、低成長経済、コミュニティの変貌、地球環境やエネルギーの問題、さらには民主主義のあり方など、その問題の所在が目に見えてはっきりしてきたようだ。原子力問題を取り上げるまでもなく、これらの問題解決には多くの選択肢があり、合理的で明確な処方箋があるわけでもない。しかし、何かが変わるという予感は多くの人が共有するようになったのではないか。もちろん、それが都市や建築に表れるまでのタイムラグはあるにしても、兆しは見えてきたかということだ。
 今回の応募規定では、授賞は、大阪府知事賞の2部門、渡辺節賞部門の3部門に対して行い、大阪府知事賞は、住宅を主としたものを除き、延床面積が3,000㎡未満の第1部と、3,000㎡以上の第2部の2部門とされている。総応募数は33点で、第1次審査会ではその中から、知事賞部門第1部で4点、第2部で3点、渡辺節賞部門で3点の計10点が選出された。第2次審査会では全員で現地審査を行い、その後、最終審査を行うという段取りである。大阪府建築士会主催とはいえ、審査対象は京都から明石、田辺までの広い範囲に位置する。このコンクールの広がりの大きさを若干の疲労感とともに感じた2日間の現地審査であった。最終審査は、それぞれの部門ごとに、第1に推すもの、第2に推すものの2点の投票を行うことから始まった。その結果を見ながら、委員のそれぞれが推薦理由を含むコメントを述べ、討論を行うという手順である。白熱した議論もあったことを特記しておきたい。
 大阪府知事賞部門第1部では、「児童養護施設三ヶ山学園」が7人の審査員のうち6人が最優秀作品として評価した。不整形な敷地の外周に沿うように、1階にパブリックな、2,3階にプライベートな室群を配置し、それらに囲まれるように、リビングと名付けられた3階分の吹き抜け空間がある。とかく殺風景になりがちな大きな吹き抜け空間に変化を与えているのは、外周および屋根面に巧みに設けられた外部との接点である。外部から引き込まれた中庭、屋根から宙づりにされた2階レベルのルーフガーデン、天窓などから、さまざまな質の光、緑、そして自然の風が取り込まれている。養護施設にきわめて開放的な「家」を仕組んだデザインが評価された。RC壁構造に外断熱を施し、ダイナミックな空間構成ながら、安定した熱環境維持している点も見逃せない。一方で、この大空間がリビングとして有効に使われているのだろうかという意見もあったことを付記しておく。この部門では、「えいの里保育園」の開放的な木造空間、「紀陽銀行田辺支店」の材料の使い方、「キャナルテラス堀江東棟・西棟」の地域へ貢献を評価する意見があった。
 大阪府知事賞部門第2部では、「龍谷大学龍谷ミュージアム」と「塩野義製薬医薬研究センターSPRC4」という、いろいろな意味で対照的な2つの建築に票が集中し、結果として双方が受賞することとなった。前者は、オーソドックスではあるが重厚なデザインで、高い完成度を感じさせる材料の扱い、デティールの巧みさが評価された。京都の中心部にあるゆえ、景観条例上の要請・規制や周辺の歴史的空間との関係をどのようにデザインに昇華させるかが一つのポイントになる。堀川通に面する「流れ」をモチーフにした西側ファサードや表通りと裏通りを結び建物を東西に貫く路地空間など、外部空間の内部空間との融合にみられる意匠と機能の複合は、総じて昇華の有効な解法と評価された。洗練された空間は認めつつ、新規性の評価に委員間の温度差があった。後者は、「知的生産性」の向上が命題とされる研究施設であり、それに果敢に挑戦したデザインが評価された。その第一は、研究室と実験室、コミュニケーションスペースを有機的に関係づけた内部の空間構成である。高い天井高さを必要とする実験施設と研究スペースを同じフロアにおくという要請に応えながら、その高さを生かして開放的な研究執務空間を実現し、また、上下階を大きな面積を持つスキップフロアでつないで、活発なコミュニケーションを意図した「ガレリア」を建物中央に設けている。東と西の外周には連絡通路や休憩スペースを含む外部との緩衝空間が配置されている。複雑な機能が複合されたファサードは未消化との評価もあった。供用開始から日が浅いこともあってか、使う側の戸惑いが感じられたが、先進的な試みゆえの現象であろう。
 渡辺節賞部門では、「Dアパートメント(CASA 小治郎)」、「神戸国際中学校・高等学校 河野記念 アルモニホール」、「目神山のいえ」で票が割れた。これらもそれぞれ対照的なデザインである。都市計画道路にまたがる敷地に立つ「Dアパートメント(CASA 小治郎)」は駅前の雑踏に中にあるが、幸い南東側はオーナーの敷地や川があり、オープンペースが残されている。その外部空間と室内空間を、中庭を介しながら縦横自在につないでゆく構成が斬新だ。それゆえ、各住戸は外部との接点を多く持ち、部屋の奥行きは2mほどと狭いものの、意外な広さを感じさせる開放感がある。鉄骨造でありがちな上下左右の遮音の課題にきめ細やかな配慮がされている反面、中庭や屋上の扱いに配慮が足りないとの意見もあったが、荒削りではあるがコンセプトを具体化する空間構成手法は新しい力を感じさせる。「神戸国際中学校・高等学校 河野記念 アルモニホール」は、講堂を兼ねた小規模な体育館である。書類審査では、軽快な木架構屋根が印象的であったが、現地ではむしろ、周辺の自然や既存キャンパスの環境を読み込んだ手堅いプランニングとデティールが魅力的で、若手を支える設計組織の力も感じさせられた。「目神山のいえ」は、石井修以来のこの地の住宅地の特徴を踏まえたデザインの熟成を感じさせた。結局、もっとも意欲的で実験的な試みをしている「Dアパートメント(CASA 小治郎)」がこの賞にふさわしいと評価され、ついで「神戸国際中学校・高等学校 河野記念 アルモニホール 」が奨励賞ということになった。
 冒頭で述べたように、関西の建築力にあらためて触れる一方でその多様化への胎動も感じ、さらに、エネルギーや環境へのデザイン配慮が確実に定着しつつあることも認識した審査経験であった。

年度別 大阪建築コンクール 入賞発表
平成24年度
第58回大阪建築コンクール入賞発表
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平成22年度
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